○2023年12月2日(土)、第356回関西品質工学研究会を日刊工業新聞社大阪支社+リモートの併用(出席者21+7名)にて開催し、以下の発表・報告を行い、活発な議論が行われた。
1.「T法の非線形対応について」中井 隆樹(オムロン)
信号と項目間に線形の関係があればT法での推定・予測に有用であるが、一方で信号と項目の間に何らかの関係があるものの非線形の関係である場合、T法推定精度が悪化するのが現状である。T法を非線形データに対応させる為、明示的な関数を設定しなくとも非線形データを線形に変換できるカーネル法をT法に応用した「カーネルT法」を検討した。
2.「サプライチェーンサイエンスを読んで ばらつきによる遅延の拡大を設計で考えたら」森田 茂樹
複雑な現実世界のサプライチェーンのふるまいをステーション、ライン、ネットワークといった形にモデル化し、そのふるまいに関する原理原則について多数の実例を交えて解説した書籍「サプライチェーンサイエンス」の内容について抜粋し紹介する。問題を如何に解くかではなくシステムがなぜそのようにふるまうのかを解説されており、あらゆるシナリオに対して効果的に対処する為のツールと洞察力を得ることができる書籍となっている。
3.「人的資本経営と品質工学の関係及び効果的な進め方」鶴田 明三(ジェダイト)
無形資本のひとつである人的資本への機関投資家の注目が昨今高まっている。海外(主に米国や中国)ではヘッドハントやM&Aによって価値創出が期待される技術やタレント獲得の動きが進んでおり、短期的な利益追求や株主優先の経営が可能となっているが、日本国内企業においてはまだあまり知られておらず浸透していない。解雇規制が厳しく終身雇用を前提としている日本国内企業においてはどのような人的資本構築(育成)をすべきか、人的資本経営を行うかについて考える。
4.「大学教育システムの考察(2)~主に、入門物理教育を想定して~」山口 新吾(京都先端科学大学)
物理学
大学教育システムをソフトウェアやシステムの開発、調達、サービス提供を行う組織のプロセス成熟度について規定するCMMI的観点に置き換えて考えてみることで、授業に対する習熟度モデルと授業効果の数値化が可能となり、大学教育システム(授業+α)を行う組織である大学の成熟度を評価することができる。本テーマを大学教育システム(授業+α)の成熟度を改善する取り組みと位置付け、品質工学的な観点で物理教育研究に対する本テーマの意義を検討した。
(松風 江髙 恵一 記)
○2023年11月10日(金)、第355回関西品質工学研究会を日刊工業新聞社大阪支社とリモートの併用にて開催した.(出席者:22名)
以下の発表を行った.
発表1 日刊工業新聞社 田井 茂
「パナソニックのインド配線器具事業に見る品質の作り込み」
発表2 株式会社ISID 岡 建樹
「SN比(ロバスト性)と交互作用について(モデル式、モデルグラフで理解する)」
発表3 株式会社デンソーテン 嶋﨑 庸介
「手品の視点から考える創造的課題解決方法」
(三菱重工業(株)佐伯健太郎記)
○2023年10月6日(金),「品質工学シンポジウム2023」 第354回関西品質工学研究会を日刊工業新聞社大阪支社とリモートの併用にて開催した.(総参加者:145名)
以下の基調講演,発表を行った.
基調講演 東京大学大学院工学研究科人工物工学研究センター 青山 和浩
「システム・デザインにおけるアーキテクチャとマネジメント」
日本のシステム・デザインをリードする青山先生から日本のシステム・デザインの動向を中心に品質工学との深い関わり合いについて講演を頂いた。この中で製品開発のドメイン間の関連性の記述のところでQFDとの関連についても詳しく解説がされた。
招待講演 日本精工株式会社 萩原 信行
「田口の実験計画法によるスラスト軸受の熱処理条件最適化と新しい特性値の探求」
新熱処理工程を最適化するテーマを田口の実験計画法を紐解きながら進めた内容で、実験計画法を適用しただけにとどまらず、そこから得られた知見を基にメカニズムに踏み込んで新たな特性値を探求し、新しい開発案を考案した。
発表1 中部品質工学研究会 ローム株式会社 山中貴光
「機械学習モデルを用いたグリッドサーチ機能性評価によるロバスト最適解探索」
制御因子間の交互作用を活用してロバストネスの実現をするために、制御因子の多水準の総当たり組み合わせをシミュレーションする必要があった。実現可能なシミュレーション数にするために機械学習(ニューラルネットワーク)を活用したグリッドサーチ機能性評価についての発表であった。
発表2 関西品質工学研究会 TM実践塾 芝野 広志
「制御因子間の交互作用によるロバスト性の向上」
パラメータ設計でなぜ下流の品質問題を防止できるのかについて改めて考察し、制御因子間の交互作用によってロバスト性が向上するメカニズムについての解説がなされた。
発表3 関西品質工学研究会 株式会社リコー 江面 大河
「複数の創造技法連携活用によるMEMSプロセス技術開発」
福原流QFDとReverse-FTAと品質工学を連携させた創造的なエッチング技術開発事例の発表であった。
発表4 広島品質工学研究会 マツダ株式会社 武重伸秀
「マツダ車両開発における社会損失低減」
品質工学会の今後の社会損失低減テーマのお話とマツダでのTQMの取り戻しについての発表であった。
オムロン(株) 中野 一志 (記)
(株)リコー 渡辺 誠 (記)
○2023年9月2日(土)、第353回関西品質工学研究会を日刊工業新聞社大阪支社+リモートの併用(出席者28名)にて開催し、以下の発表・報告を行った。
1.「長野県工技センター研報の論文紹介」西川智晴(コニカミノルタ)
2.「直交表実験やSNSN比の意味、制御因子間の交互作用によるロバスト性について②」芝野広志 太田勝之
3.「繊維機械搭載のセンサについて」岡島一帆(村田機械)
4.「摩擦圧接機の接合条件の検討」田中正孝
(宇部マクセル京都 近藤 真澄 記)
○2023年8月4日(金)、第352回関西品質工学研究会を日刊工業新聞社大阪支社+リモートの併用(出席者30名)にて開催し、以下の発表・報告を行った
1.芝野広志 (TM実践塾)より、「直交表実験やSN比の意味、制御因子間の交互作用によるロバスト性について」と題して報告2.芝田直樹(村田製作所)より、「身近な品質工学事例作成の取り組み」と題して報告3.鈴木新(奈良県立大学)より、「品質工学関連の話題提供(T法)」と題して発表頂いた。4.相談WG荘所義弘(シニア)より「LSU(レーザースキャンユニット)の評価方法」について相談があった。
((有)アイテックインターナショナル 江平 敏治 記)
○2023年7月7日(金)8日(土)、第351回関西品質工学研究会(2023年合宿)をホテルロッジ舞洲とリモートの併用にて開催した.(出席者26名)
以下の発表・グループ討議・招待発表を行った.
7月7日(1日目)
テーマ検討「ランド形状の最適化検討」松楓 江高恵一氏
6月の品質工学研究発表大会についての感想
テーマ自由のグループ討議
7月8日(2日目)
招待発表「ロバスト性最適化の8-Step」 田口 伸先生
(オムロン(株)中野一志 記)
○2023年6月3日(土)、第350回関西品質工学研究会を日刊工業新聞社大阪支社+リモートの併用(出席者13+名)にて開催し、以下の発表・報告を行い、活発な議論が行われた。
1.「アライメント光学系候補評価実験」坪井 辰彦(東レエンジニアリング)
2.「CAE潜在データの活用に向けた課題と期待」木谷 暢秀(カヤバ)
3.「分割型SN比についての相談」渡辺 誠(リコー)
(松風 江髙 恵一 記)
○2023年5月12日(金)、第349回関西品質工学研究会(中部・滋賀・広島・関西合同)を日刊工業新聞社大阪支社とリモートの併用にて開催した.(関西品質工学研究会出席者:32名、総参加者:58名)
以下の発表を行った.
1.「減速機の潤滑信頼性改善の試み」中部品質工学研究会 株式会社ハーモニック ドライブ システムズ 城越教夫
2.「日本のものづくりの課題に品質工学屋としてどう応えるか」関西品質工学研究会 三菱電機株式会社 鐡見太郎
3.「SPCとT法、品質変動と変動要因の特定」関西品質工学研究会 オムロン株式会社 中井隆樹
4.「企業での活用に向けた管理技術の整理」広島品質工学研究会 マツダ株式会社 武重伸秀
(三菱重工業(株)佐伯健太郎 記)
○2023年4月1日(土)、第348回関西品質工学研究会を日刊工業新聞社大阪支社+リモートの併用(出席者26名)にて開催し、以下の発表・報告を行い、活発な議論が行われた。
1.「品質工学の基本を勉強し医学分野への応用を考える」定 明子(神鋼記念総合健康管理センター)
2.「品質工学でSAUNAを科学する」井上 徹夫(シマノ)
3.「シミュレーションの活用と事例」太田 勝之(シマノ)
4.「未然防止の方法論の整理」鐡見 太郎(三菱電機)
(リコー 渡辺 誠 記)
○2023年3月4日(土)、第347回関西品質工学研究会を日刊工業新聞社大阪支社+リモートの併用(出席者28名)にて開催し、以下の発表・報告を行った。
1.「創造性と効率化を両立する技術開発プロセス“T7”の紹介(2)」細川 哲夫(リコー)
2.「人口知能学会参加報告」渡辺誠(リコー)/笹山 和明(村田製作所)
3.「社会貢献WG活動報告」嶋﨑 庸介(デンソーテン)
4.「美と健康のマネジメント」若林 治(シニア)
(宇部マクセル京都 近藤 真澄 記)
○2023年2月3日(金)、第346回関西品質工学研究会を日刊工業新聞社大阪支社+リモートの併用(出席者27名)にて開催し、以下の発表・報告を行った
1.三菱重工業/佐伯健太郎より、「AIとQEの連携WG」と題して活動報告
2.TM実践塾/芝野広志より、「MT活用WG/RPD研究WG」と題して活動報告
3.村田製作所/芝田直樹、リコー/渡辺誠、TLV/鈴木康介より「品質工学特別企画シンポジウム」参加報告があった。
4.リコー/細川哲夫による「創造性と効率化を両立する技術開発プロセス“T7”の紹介」と題して講演いただいた。
((有)アイテックインターナショナル 江平 敏治 記)
○2023年1月14日(土)、第345回研究会をリモート+会場開催した。(出席者:27名)前半に2023年度総会を実施し、後半は、新年記念公演と相談ワーキングを実施した。新春記念講演では、「品質工学をいかに理解したか〜30年の変遷〜」と題して芝野氏が長年取り組んできた品質工学に対する考え方を振り返った。長年の取り組みから、哲学・手法・技術の3つのバランスの重要であり、また、その目的は、「品質問題の未然防止」と「開発効率の向上」に考え方の軸足が変わってきたことについて語られた。
(オムロン(株) 中野 一志)