重回帰分析のように、複数の項目のデータから目的の1つの特性値に対する予測を行う。
その予測は、正常/異常の判断ではなく、数値を予測する。
良い悪いの判断ではなく相対的にどちらが高いか低いかを判定する。
例えば、大きいか小さいか、固いか柔かいか、増えるのか減るのか、どんな性能になるのか、など。
データ数<項目数でも解析可能
重回帰分析ではデータ数は項目数より少なくとも多くなければならず、しかも5倍以上は必要とされる。
T法ではデータ数は項目数より少なくてもよく、欠測値があっても解析することができる。
人間が行っている判断も、少ないサンプルからの無数の感覚細胞からの膨大な情報を元に、1つの判断を行えており、重回帰分析とは異なる。
方法:
真値がわかっていて、複数の項目のデータセットがあるサンプルを複数(3個以上)集める。
真値と各項目の相関係数(R2乗値)と傾きβを求める。
一般に、相関(R2乗値)が大きい項目ほど、真値の予測には役立つと考えられる。
R2乗値は0から1の間しかとらないため、これをオメガ変換によりSN比(真数)を求める。
SN ratio η=R2/(1-R2) 対数はとらない。これを重みとし、傾きβで補正した加重平均を求め予測値とする。
問題点:T法では単位空間と信号空間は別データとし、単位空間の各項目ごとの平均値を原点とし、それを信号空間で単回帰と相関を調べる。
信号空間の平均と異なる原点にすると、その差により相関に関係なくSN比は高くなり、項目の診断精度が低下する。
対策:T法での単位空間としての原点は、信号空間のデータを含む全データの平均値を用いる。
関西品質工学研究会では、単位空間という呼称も設定もやめ、全データから各項目ごとの平均を求めそれを単位データ(原点)とすることを推奨する。「信号空間」は実際には空間ではないため、「信号データ」と呼ぶ方がよい。
問題点:T法での項目診断のSN比
荷重平均の重みはかならず正のため、Sβ-Veで負となった項目は使わない目安があるが、
データ数に影響を受けるSβ-Veで判断することはできない。
対策:T法での項目診断のSN比ではVeを引かない
Veを引かない基準点比例のエネルギー比型SN比を使い、SN比の小さい項目から使うかどうかを判断すればよい。
問題点:T法ではデータ数>項目数の制約がないためデータ数<<項目数の場合、まったく関係がない項目もたまたま高い項目のSN比となることがある。
対策:項目数、データ数に応じたSN比の判定基準と未知データでの確認が重要。